Sakurakoのフランス語勉強部屋

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フランス語学習における母語干渉:日本人学習者のための徹底解説と克服法

フランス語を難しいと思う時、どんな時でしょうか。

時に私たちは、無意識のうちに母語である日本語の考え方や言語体系を、学習しているフランス語に当てはめてしまうことがあります。

この現象を「母語干渉 (L'interference)」といいます。 私たち日本人学習者が陥りやすい母語干渉の具体的な例をフランス語の例文と共に詳しく解説していきます。

Sakurakoのフランス語勉強部屋は【パリジャーナル】の中のフランス語学習に特化したブログです😊

母語干渉は、発音、文法、語彙、さらにはコミュニケーションスタイルにまで影響を及ぼし、フランス語の習得を遅らせたり、不自然な表現を生み出したりする可能性があります。

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1. 日本人にとっての母語干渉

フランス人の親をもつか、フランス語圏にうまれないと、日本語で思考するのはあたりませです。

フランス語を話すようになるには、母語干渉のメカニズムを理解し、その影響を意識的に認識することが大事です。

これができると、効率的にフランス語を習得することができます。

日本語の音韻における母語干渉

音韻における母語干渉というものがあります。

日本語とフランス語の音韻体系は大きく異なります。

日本語にはない音や、日本語には存在するけれどフランス語にはない音、また、音の組み合わせ方も異なります。これが発音における母語干渉の大きな原因となります。

例1: /r/ の発音

日本語の「ら行」は、フランス語の /r/ の音とは全く異なります。多くの日本人学習者は、/r/ を日本語の「ラリルレロ」に近い音で発音してしまいます。

フランス語学習で最初に覚えるあのボンジュールですが、"Bonjour" を「ボンジュール」のように発音する。

例2: 鼻母音

フランス語には、日本語には存在しない鼻母音 (/ɑ̃/, /ɛ̃/, /ɔ̃/, /œ̃/) があります。これらの音を、日本語の「アン」「イン」「オン」「ウン」のように発音してしまうのは典型的な母語干渉です。 誤: "Vent" (風) を「ヴァン」、"Pain" (パン) を「パン」のように発音する。

例3: 子音連結

日本語は基本的に「子音+母音」の構造を持つため、フランス語のような子音連結に慣れていません。 誤: "Le livre" (その本) を「ル・リヴル」のように、子音の間に母音を挿入して発音する。

発音は最初できない人がほとんどですが、発音していけばできるようになるので、安心してください。

フランス語文法における母語干渉

文法でも母語干渉があります。

日本語とフランス語の文法構造は大きく異なります。語順、文の構成要素、文法的な概念の有無などが、母語干渉を引き起こします。

例1: 語順

日本語の基本的な語順は「主語 - 目的語 - 動詞 (SOV)」ですが、フランス語は通常「主語 - 動詞 - 目的語 (SVO)」です。 誤: "Je le livre lis." (私はそれを本読む。) → 正: "Je lis le livre." (私はその本を読む。)

例2: 冠詞

日本語には冠詞の概念がありません。『その本』という言い方がありますが、もともと『本』には、フランス語のような冠詞なしで考えています。

そのため、フランス語の
定冠詞 (le, la, les)、
不定冠詞 (un, une, des)、
部分冠詞 (du, de la, des) の使い分けは日本人学習者にとって難しいポイントです。 誤: "J'aime chat." (私は猫が好きです。) →
正: "J'aime le chat." (私はその猫が好きです。) / "J'aime les chats." (私は猫たちが好きです。)

例3: 性と数の一致

フランス語の名詞には男性と女性の性があり、形容詞や動詞の過去分詞などが名詞の性と数に合わせて変化します。

日本語では、太陽や月には男女別がなく、このような概念がないため、間違いやすいです。 誤: "Une livre intéressant." (面白い本[男性形]) →
正: "Un livre intéressant." (面白い本[男性形]) / "Une histoire intéressante." (面白い話[女性形])

【動画でご覧ください。】

初心者が陥りがちな語彙・意味における母語干渉

語彙・意味における母語干渉もよくある影響です。

日本語とフランス語には、発音やスペルが似ている単語が存在しますが、意味が異なる場合があります。また、日本語のカタカナ語がフランス語の本来の意味とずれていることもあります。

例1: 紛らわしい単語

"Librairie" (フランス語: 本屋) は、日本語の「ライブラリー (図書館)」とは意味が異なります。
誤: "Je vais à la librairie pour emprunter des livres." (図書館に本を借りに行く。) →
正: "Je vais à la bibliothèque pour emprunter des livres." (図書館に本を借りに行く。) / "Je vais à la librairie pour acheter des livres." (本屋に本を買いに行く。)
克服法: 紛らわしい単語のリストを作成し、それぞれの正確な意味と用法を辞書や例文で確認する。

例2: カタカナ語の影響

日本語の「アパート」はフランス語の "appartement" に由来しますが、フランス語の "à part" (別に) と混同してしまうことがあります。 誤: "Je vis à part." (私はアパートに住んでいます。) →
正: "Je vis dans un appartement." (私はアパートに住んでいます。)
克服法: カタカナ語の元のフランス語のスペルと意味を正確に理解し、文脈に応じて適切な単語を選ぶように心がける。

文化・慣習における母語干渉

文化・慣習における母語干渉も大きなハードルと言えます。

言語は文化と深く結びついています。

日本語のコミュニケーションスタイルや文化的背景をそのままフランス語に当てはめようとすると、誤解や不自然さを生むことがあります。

例1: 直接的な表現

日本語は間接的な表現を好む傾向がありますが、フランス語は比較的直接的な表現をすることがあります。 誤: 遠回しな言い方で依頼しようとして、相手に意図が伝わらない。
正: 状況に応じて、より明確な表現を用いる。

例2: 相槌

日本語の会話では頻繁に相槌を打ちますが、フランス語では日本語ほど多くありません。過度な相槌は不自然に聞こえることがあります。 誤: 会話中に「はい、はい」と何度も相槌を打つ。
正: 適度な相槌や、相手の発言に対する具体的な反応を示す。

母語干渉を克服するためには、意識的に母語との違いを常に意識し、間違いやすいポイントを重点的に学習するのが効果てきです。

反復練習として、正しい発音や文法、語彙を繰り返し練習して、無意識に使えるようにするのが大事です。

多角的な学習リソースの活用: 教材、辞書、オンラインリソース、映画、音楽など、様々なツールを活用するのもいいですね。

まとめ

フランス語学習における母語干渉の様々な側面を、具体的な例文と共に解説しました。

日本語とフランス語の音韻、文法、語彙、文化的な違いを理解することは、より効果的な学習の第一歩となります。

母語干渉は、日本に生まれ、日本語で考えていると避けることのできない自然な現象です。

しかし大事な母国語の存在を認識し、意識的に対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることができます。

焦らず、一つ一つの違いを丁寧に理解していきましょう。

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